三連休の初日
久しぶりに祖母に会った。ちょっとだけ、胸が苦しくなった。
深呼吸をすればマシになるのだろうか。でも自分のことなので目をそらすことは出来ない。
諸事情でかなり若いこともあり、友達のような祖母である。ふたりでお買い物に行ったり、今の道を選ぶ根幹を作ったのも割と祖母が関係している。そんな頻繁には会えないけど結構私は好きだ。
数年前に一人になった祖母は「のんびり余生を謳歌しようかしらね」と言っていた。実際、学生時代のお友達や兄妹たちとのんびりと旅行に行ったりしたと聞いて私はほっとしていたり。
門で出迎えてくれた祖母はいつも通り「いらっしゃい」と笑ってくれた。「お仕事はどう?」と玄関まで腕を組んで歩いた。
靴を脱いでいる時に気がついた。祖母の息が切れていた。マラソンを走ったあとみたいに。
家の中はテレビが付いており飲みかけのお茶が置いてあった。庭に行ったりはしていなかったようである。
つまり、門から玄関までの数十メートルを歩いただけで祖母は疲れてしまったようなのである。
キュ·····といつもより祖母に引っ付いて掘りごたつに座った。ふたりで銀杏を剥きながらいつものように地名縛りしりとりをして、お茶をいれた。庭には、行かなかった。しりとりは「一宮」「ヤンゴン」で私が負けた。負けたのでコーヒー豆を挽いたりした。
お夕飯、お肉とお魚だったらどっちがいい?と聞くとどっちも最近食べてないわとぼんやり祖母は言った。だから祖母が好きな魚の塩焼きと、祖父がお気に入りだった牛肉を甘辛く煮たやつにしたら気に入ってくれたみたいでよかった。やっぱり祖母の魚の食べ方は綺麗だった。流石漁師の娘。
またこうして過ごせるかな。お庭行きたいとか、お買い物しに街行かない?とか言わないからさ。縁側で一緒に星が見れたらそれでいいから。
胸が苦しいのは空気が綺麗だからだろうか。